2/28/2014

採集者番号と標本番号について

植物を入手する際、採集者番号(≠標本番号)付きの植物を入手することがあると思います。
例えば、EM041104、HR7162、WT183 といった感じの番号です。
ちなみに、この番号だけで植物名が分かる方がいれば、かなり熱心な愛好家であると言えるでしょう。

そもそも採集者番号とは、研究者が自分の採集した植物をナンバリングし、その番号にフィールドデータを関連づけることによって、それらの情報を管理しやすくするためのものです。
そして、新種を記載する際の論文(通常、「記載論文」と呼ばれる。)には、完模式標本の採集者番号とフィールドデータを記載するように定められています。
(ただし、その定めがなかった頃の記載論文には、記載がないこともある。)
実際、現存する完模式標本の多くに、採集者番号が付属しています。

これに対して、標本番号とは、作成した標本に付けられる番号です。
例えば、同一採集番号の植物から複数の標本を作製した場合、同一クローン・別クローンに関わらず、全て別々の標本番号が付けられます。
これは標本に対して付けられる番号なので、生きた植物に標本番号が付けられて出回ることは絶対にあり得ません。

ヤフオク等で植物を販売する際、採集者番号と標本番号を混同している方がいます。
(最近、そういう方はあまり見かけなくなりましたが・・・)
そのような方と取引しても実害はないとは思うのですが、その植物が殖えた時に余剰分を分譲する時は、正しい知識に基づく取引に努めた方がよいでしょう。
採集者番号さえはっきりしていれば、詳細なフィールドデータを失念しても、論文等から割り出すことが可能な場合もあります。

2/21/2014

Tillandsia brachyphylla

本ブログの投稿1発目は、長年混乱を招いていたこの植物を取り上げたいと思います。

この植物は、長年、Tillandsia roseiflora と思われる植物と混同されてきました。
おそらく今でも、混同している方はたくさんいると思われます。

しかし、実物を見てみると、T.roseiflora とは全く違う植物であることが分かります。
(写真は入手当時(H21.9.18)の写真)
















最も大きな相違点は、葉の質感です。
T.roseiflora の葉は薄っぺらですが、T.brachyphylla の葉は多肉質であまり曲げると折れます。
言葉で説明しても分かりづらいと思いますが、実物を見ればはっきりと分かるでしょう。
開花時の特徴もかなりはっきりとした相違があるはずですが、実物の開花を見たことがないので説明は控えさせて頂きます。

また、1974年の国際ブロメリア協会の会報(No.2)の表紙に、Tillandsia sucrei の写真が載っておりますが、これは明らかに T.brachyphylla であると思われます。
(古い会報は協会のHPで公開されており、誰でも閲覧可能です。)
T.sucrei については、国内の愛好家の間でも認知度が高いと思いますので、今更説明する必要はないでしょう。




















これは、現在(H26.2.21時点)の写真です。
葉数が増えて、ボリュームアップしているのが分かると思います。
しかし、いつ開花するのかは全く分かりません。
性質は、Tillandsia sprengeliana とほぼ同様で、酷暑、酷寒、過乾燥に気をつければ栽培容易です。